3月11日午後2時46分、この世の終わりかと思うほどの揺れに襲われました。幸いにして命は助かり、家族や団員も無事でしたが、離れ離れになりそれぞれ避難生活が続いています。
今は、日々の暮らしに精一杯ですが、ただ、生かされていることの有難さは何よりも強く感じさせていただいています。
さて、何年か前の冬にボーイスカウトを中心に活動するBP祭(当団ではスキー活動)での出来事でした。
団委員長が挨拶の中で、スカウトたちに「“親”という漢字はどういうふうに書く?」と質問をしました。私が子供たちを伺っていると、低学年は、「えっ、親っていう漢字?」「お父さん・お母さんは書けるけど・・・。」という様子で書けないようですが、高学年・中学生は書けるようです。
そんな中「立つの字に木の字に見るっていう字で“親”!」と元気よく答えた子供がいました。
「あたり!」と、大きな声で団委員長が答えました。そうして、こう続けました。
お父さん、お母さんは僕たちの事を心配して大きい木に登り、枝の上に立って「子供達は大丈夫かな?」「元気で過ごしているのかな?」っていつもいつも見てくれているんだよ。BP祭とスキーに参加しているスカウト達のお父さん、お母さんはきっと今でも心配をしているよ。いつも活動で集まっている本堂におられる阿弥陀様も、君たちのことを心配して、ずっと見ているんだよ。
阿弥陀様は木の上じゃないけど、何処からでも君たちを見てるから、明日はお寺に戻ったら本堂で阿弥陀様に手を合せてお礼を言うね。ありがとうってね。そして、家に帰ったら「スキーに参加させてくれてありがとう」とお父さんやお母さん必ず言おうね。
団委員長が話終わると、スカウト達は元気に大きな声で返事をしていました。
子供たちの純粋な気持に、私たち指導者及び関係者は心を打たれると同時に、改めて親心という有り難さに気づかされた瞬間でもありました。
[スカウトニューズ復刻版第2号より]